2012年08月22日

リスクマネジメント活動の実践

平成24年8月14日付の日刊工業新聞に掲載された
当会会員の 津田 文男 さんの原稿を
HP用に編集していただいたものをご紹介いたします。

「危機管理」をテーマとしておられますが、
リスクマネジメントは環境にも関係しています。

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タイトル:リスクマネジメント活動の実践
氏名:津田 文男  環境カウンセラー(事業者部門)

組織自身が決めるリスクの定義

東電福島第一原発事故以降、
「リスクマネジメント」という言葉が、よく使われている。
しかし、リスクマネジメントとは何かと問われても、
各技術者の説明は、必ずしも一定ではなく、
それを実践する段階では、さらに曖昧になることが多い。

ISO 31000(リスクマネジメント)において、
リスクとは、
“目的に対する不確かさの影響”であると定義されており、
その定義を決めるのは組織(企業等)自身である。

またリスクマネジメントとは、
“リスクについて、組織を指揮統制するための調整された活動”であると
定義されており、重要なのは、
(1)目的の明確化、
(2)管理対象の明確化、
(3)管理方法の明確化 の
三点である。

PDCAサイクルにもとづく活動

リスクマネジメント活動は、
PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)にもとづいて
次のとおり実行される。

@基本方針の策定:組織として進める方向を明示し全社員に周知。
A基本計画の策定:リスクの優先順位を決め、組織が「行動できる計画」を策定。
B対策の実施:基本計画にもとづき具体的な実行計画を立案、実行。
Cモニタリング:実行されているか、活動が形骸化していないかチェック。
D是正・改善:活動の結果、問題点を是正・改善。

リスクマネジメント活動のポイント

これらの項目で重要と考えられるのは、
「行動できる計画」の具体化をどのように図るかである。
中小企業を指導してきた経験から、
例えば「基本方針」を“事業安定・信用維持”とした
企業における「行動できる計画」について考えると

イ.取引先倒産、情報漏えい等のリスクに対し優先順位をつける。

ロ.優先順位の高いリスク(例えば取引先倒産)に対し
  戦略(回避、低減、移転、受容)を選択する。
  例えば
  “回避”は「財務状況が悪化している取引先との取引停止」
  “低減”は「取引先経営状況をコンサルタント活用等により
         情報を正確かつ早期に把握」、
  “移転”は「各種保険の活用により特定取引先の倒産リスクを
         転嫁し影響を減少」、
  “受容”は「経営が悪化しつつある取引先との取引を
         事業継続に必要と判断し敢えて継続」となる。

経験的には“受容”を選択するのは
リスク対策の機会を逃す可能性があるので慎重に判断する必要がある。

ハ.具体的戦略について達成すべき目標を決め実行する。

ニ.実施期限について例えば「今年度中に対策完了させる」等、
  明確化する。

これらのことから、
リスクマネジメント活動実践のポイントが明らかとなり、
技術者等が企業の健全な事業活動あるいは
公衆(社会)の安全等を狙いとして取組む場合に
実効のあがる適切な活動が行えるようになると考える。

技術士として「リスクマネジメント活動」を適切に、
わかりやすく中小企業の事業者および技術者等に
普及させるように取組んでいきたい。

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posted by ech28-3 at 16:17| 日記